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2008年10月

散るといふおしまいが好き風の音

はらり、はらはら・・・こんな日がくることは分かっていました。風よ、風・・・どうかやさしくそっと次の場所に運んでください。
・・・落ち葉が濡れているのは、やっぱりすこし泣いたんだね。

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もうとおに知ってる水と思う指

心臓まで縮む冷たい水も、全身を走り抜ける熱湯も、もうみんな知っている・・・知ってしまった気がする。どきっとするけれど、驚かないから。
ねぇおばあちゃん、いつもさみしそうに笑っていたのは、みんな知っていたからでしょう。

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抱きすくめられる 卵を握らされ

彼の気持ちがわからない・・・そうね、どうなんだろうね・・・。
アラフォー過ぎの恋は、いっぱい背負ってるものがあるからね。気持ちだけで突っ走らない・・・いい人なんじゃないの?

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啼く鴎きっとわすれてしまう青

海鳥の声は、波を切り裂くようにかなしい。み~んな忘れさせてあげたい。

毎日のように聞くカラスの鳴き声も、聞きようにっては哀愁があるのだが・・・。カラスはとても賢いらしいので、鳴きまねとかできないのかな?カナリアやら鶯の鳴き声ができたら、少々ゴミ散らかしても大目にみてもらえるかも・・・。鈴虫やら蛙までいったら、江戸家猫八さんになれるし・・・(なってどうする・・・)。

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夕暮れのだれか泣くまであそぼうよ

福山~尾道の宿は、小栗旬くんと山田優ちゃんがお忍びで泊まったという瀬戸内を一望するリゾートホテル。
地元で迎えてくれた友人が「ホテルの露天風呂からは水平線に沈む夕日が見られるの。でもおいしい小さな串カツ屋があってネタが切れたら閉店になってしまうんだけど、夕日と串カツどっちとる?」「串カツ!!!」(間髪入れずハモった私たち)
串カツ大正解!絶品!メニューはほぼ制覇。・・・そして、夕暮れ過ぎてももちろんだれも泣かず、大はしゃぎで夜中まであそんだのだった~~。

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潮風もひゅっと肋をすり抜ける

初めてほんとうの夜の海を見た。どこからが海なのかも分からない、一面の闇だった。怖すぎて、辛いこともうれしいことも一瞬みんな忘れてしまった。

造船所の近くで、大型船の進水式を見たことがあるか?と聞かれた。船を載せている鉄板を、人が大きなハンマーでだるま落としの要領で抜くのだそうだ。まっさらな巨大な船が、す~っと海面に滑り出る。勢いづいて行き過ぎないように、タグボートが体当たりして止める。花火が上がり、ラッパが吹き鳴らされ、無数の紙テープが風に舞う・・・力強く、華やかで、見ていると気が満ち満ちてくるのだと、その人は熱く語った。

今回は、こころの休養をとっていた友人の回復をよろこぶ旅だった。まるで、彼女の進水式のようだった。元気になって、また全力で走り出しそうな彼女を、私ともうひとりの友人が身体を張っておさえた。ゆっくり、ゆっくり・・・。

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髪切れば散らばる一年十ヶ月

「じゃぁ、さっぱりしましょうか」のことばで、髪に鋏が入った。
二年前の大晦日に切って以来なので、ずいぶん伸びていた。
からだの中でも、時間の長さを感じさせるのは髪くらいだろう。
ゆるくカーブした髪が、音もなく落ちてゆく。私の一年十ヶ月という、かけがえのない時間が・・・。

感傷的になるのは、徳永英明のせいだろうか?友人がコンサートに行って、すごく良かったというので、「SINGLES BEST」3枚組と「VOCALIST」3枚組みを一気に大人買いしてしまった。
やっぱり声だと思う。からだの内の、ひだひだの奥までなぞるような声。そう、糸電話で聞くような歌声。泣きそうになる。

頭も軽くなったので、ちょっと出かけます。しばらく(当分?)更新はおやすみします。

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野鳥くる池にやくそく浮かべおく

果たせなくなった約束を、池にそっと浮かべる。水鳥たちがあつまって、引っ張りあって啄ばむ。
鳥たちよ、私の知らない遠い遠い森や湖や野原に、この約束を落としておくれ。きっと、青い実に、青い魚に、青い花になるから・・・。

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十月のやさしい嘘をつく鏡

大人の秋の遠足シリーズその2は、東大寺で写経。
秋の土曜日でいっぱいかと思ったら、写経をする人はあまりないらしく、貸切状態だった。墨を刷り、榊莫山先生のお手本を下に敷いて、「華厳経」を写した。写経はほんとうに心落ち着くのだが、足の痺れがどうにもこうにも集中の邪魔をして惜しかった。

言葉で表された、他人という鏡に映った私の姿に驚愕する。私ってそんなだったんだ・・・。
十月は、嘘つきでもいいからやさしい鏡をのぞきたい。鹿の目のようなやさしい鏡を・・・。

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金網に夏の切れ端ひっかかる

空は秋、ススキの波打つ川原をゆずと散歩。
金網をすり抜けたら、ゆずの夏毛がふわりと離れた。

それから、秋祭りのお赤飯の準備。
ショキショキとあずきを研ぐ。しばし“妖怪あずき洗い”に。
♪あずき研ごうか、人とって食おうか・・・ショキショキ・・・。
あずき色きれい!妖怪なら、あずき洗いもいいな。

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白芙蓉いつか会えなくなるのです

あの花のように、いつかやわらかく受けとめるために・・・、今は愛しましょう。

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風唸る夜は獣のまま眠る

先日の「仏具磨き」の駄賃に、白いお餅をもらった。
お餅が焼けるさまは、ほんとうにおもしろい!
今日のもち肌まる子ちゃんは、散々ふくれて転がって・・・「もう、だいっきらい!」っと破裂した。いいなぁ、なんか気持良さそう・・・。

実家には、二匹の犬がいる。一匹は動物愛護センターから譲り受けたコロちゃん。コロは保護された野良犬だった。もう一匹は、娘が誕生日に欲しがって、ブリーダーさんから買った犬。コロは外犬で、ゆずは内犬。
コロは、花火、雷、台風をものすごく怖がる。ゆずは野生を失っているのか、へっちゃら。嵐の夜、どちらの犬にも胸がきゅんとなる。

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銀杏の降ってすとんと人恋し

朝から、友人のブログのお父さんの思い出話に涙。
と、別の友人のお父さんの訃報が舞い込み涙。

しんみりしているところに、へこむことが重なる。
この自分の現実を受け入れなければ・・・。

咲きそびれた槿のつぼみが美しくて涙。

帰宅したら、娘と、娘がお世話になっているホストママから、少し早めのバースデーカードが届く。ママのあたたかなメッセージに涙。

秋は、油断すると目から耳から皮膚から・・・するすると入ってくる。

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あれからの月をまっすぐ見られない

最近の夢見は、奪われる、失くす系が多い。
大きな蟻が机の引き出しから、せっせと白いカケラを運び出していたり、身体についたたくさんの小さな虫が血を吸ってみるみる膨らむ。家に帰ろうとすると足元に水が満ちてきて、きれいな魚まで泳いでいる。サンダルが滑って脱げて藻の中に吸い込まれてどこかへいってしまった。

なので、昨日の荷物は見つからない気がしていたのだけど、発見された。JRさん、ありがとう。でも、荷物の形状やら中味を全部言わなければならなかった。蝉の抜け殻とか、おかしげなものが入っていなくてよかった。

昼間誰もいないところで恥ずかしいことをしても、太陽には見られた!という気がしないのに、夜だと月には見られた気がする。月は家の中ものぞいていることがある。

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夕焼けを挟んで今日を閉じておく

荷物がひとつないよぉ。どこで忘れたのだろうか?
その紙袋の中の非売品が欲しくて、今日は出かけたのに・・・。
ちょこっとおいいしい冷酒を飲んだせいかしら?
とりあえず眠って、明日あちこち問い合わせてみよ。

夕焼け・・・そんなロマンチックな一ページじゃないね、今日は・・・。

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さみしさをケーキの箱のように持つ

さみしいという感情はちょいと厄介なものかもしれない。
さみしくて愛したり、憎んだり・・・そのままでいられにくい性質があるように思う。
なかなか美味なる感情なのだが・・・。

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線路わきススキになった 見送った

ほんとうに伝えたかった気持ちが、伝えきれなかった気がしてしばらく揺れていた。
電車の風圧に促されるように深々と頭をさげた・・・「ほんとうにありがとうございました」。

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猫の背のように拒んであげましょう

今日は、夫の実家へ“仏具磨き”のお手伝い。
仏壇のお飾りや蝋燭立てなど一式を、一年に一度掃除をするのだ。
昔は、磨き粘土(?)のようなもので磨き上げるので、もっと重労働だったそうだが、今はハイターのような専用液で汚れを落として、めがね拭きのような布で磨く。
金ぴかぴかになるのは、なかなか気持ちのいい仕事だ。

終わったら、母がコーヒーとロールケーキを出してくれて、父が自転車のタイヤに空気を入れてくれていた。
触れてほしくない話題の会話もあったけれど、今日の私は猫のように丸くやさしい背でやんわりと拒んでいた。

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首なんてあるから待つのねえキリン

今日は、10月生まれの友達3人で秋の遠足に出かけた。
神無月三姉妹の中では、私は念願の末っ子。長姉は、よく気がつき、くるくると動くしっかり者。中姉は、ちょっと不良・・・でもカッコいい。
中姉は、出かけるときいつも手ぶら。柿渋染めのカフェエプロンのようなポーチを腰に巻き、そこに現金だけを入れてくる。財布もカードも、もちろん携帯など持たない。(ハンカチちり紙は持っているのだろうか?)

この中姉、帰り道で駅が近づくと、そわそわと明らかに挙動不審・・・。どうやら、酒屋を探していたらしい。「見つけてしもた!」と飛び上がらんばかりに喜んでいた。そうして、いきなり缶ビール6本パックを買う。
ローカル線とはいえ、平日の夕刻は学生たちも多い。缶ビールと柿ピーで、結構真面目な話もするおっさんおばちゃんの姿は、彼、彼女らにはどんな風に映ったのだろう・・・?

この中姉に、もう一つ特筆すべきことがある。彼女の男前ぶりに惚れ込み、愛をささやき続けるつれあいがいるのだ。携帯を持たない彼女の居場所を察知し、突然現われたり、居酒屋に電話がかかってくることもあり、仲間内では、中姉のどこかにGPSが埋め込まれていると囁かれている。

今日も伊丹に戻り、中姉ともう少し飲みたいなぁと思ったとき、彼の顔がちらついた。とっぷりと暮れた時分から、遅いなぁ・・・何時になるんやろ・・・と待ち侘びているに違いない。こちらは一日中たのしかったから、返してあげないとね・・・。
待ったり、待たせたりって、しあわせなことなんだろうな、きっと。

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背中からギターのように横たえる

今日聴いた音。
明け方の切ないような鳥の声。
長雨のような女の子の泣き声。
空気を破るような金属を切断する音。
すこし重たい雨のあとの電車の音。

今日発した音
郵便ポストに、はがきを一枚落としたコトン。
秋の花をセロファンに包んだシャキャシャキャ。
そして無数の水音。

しずかなからだは、しずかに今日のうたを編む。

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包丁を研ぐ角度から覗かれる

今日は静かな雨がふっていた。
麺がのびるようにながくなった午後を、「顔彩」という絵の具で小半日あそんだ。
色はなんてうつくしいのでしょう。もし顔彩に生まれ変われるなら「花白緑」がいいなぁ。


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正座して夏をちいさく折りたたむ

忘れ難い今年の夏を、大切にしまおう。

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客人を帰しつめたい化粧水

日が暮れると、一気に部屋の温度も下がるこのごろ。これから暖房を入れるまでの、秋のビールが一番冷たく感じる。あたためて飲むビールがあればなぁ・・・と思う。
けれど今宵、いっしょに飲む相手がいると、まったく気にならなかった。
客人が帰り、後かたづけをしてお風呂に入って・・・あら化粧水の冷たいこと!

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ファスナーが壊れ取り出せない夕べ

この句を読んだ人が「些細なことなのに、どうにもならないことってある・・・」と共感してくれた。
そのような場合、あまりくよくよするのも、あっさりあきらめるのも良くない気がして、こころ残し加減を迷ってしまう。

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泣き声を屋台の隅でとり戻す

博多でのこと。
中州の屋台へ行ってみよ~と、いそいそ出かけたものの、屋台が見当たらない・・・。
キョロキョロしていると「無料観光案内&花」という看板!店の奥にはやさしげなおばちゃん。
「すみません。中州の屋台ってどこに出てるんでしょう」
「あんな汚なかとこ、なんでみんな行くと・・・酔っ払いがおしっこはするし吐くし、ねずみはおるし、排気ガスだらけ・・・汚なかぁ・・・」
「あ・・・それで場所はどのあたりに・・・?」
「やけん、私はそんな場所へは行きましぇん!」
ひぇ~!観光案内ちゃうの?・・・これでいいのか中洲・・・と思いながら、近くの果物屋さんで尋ね、無事屋台へ。(それでも行くのだ!)

帰宅後、家人にこの話をしたら、『「無料観光案内」って知らんのか?』と呆れられた。
路上での強引なキャッチセールスが禁止されたため、怪しげな店を紹介するために案内所を装っているところなのだそうだ・・・。(みんな知ってるの?)
どうりで邪険に対応されたわけだ。

中州の屋台は、おいしかったけれど観光屋台だ。
無口なおやじさんが静かにお酒を出してくれて、拠られた糸が一本にほどけるように、ただの私に戻る場所ではない。

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