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2009年6月

歩いたことないリカちゃんのふくらはぎ

もう6月がおわり。
今夜の雨は、強弱をつけてほんとうに音楽みたい・・・。

雨が空から落ちてくるまでに、どのくらいの時間がかかるのだろう?
ひと粒の最後の旅の、その最後のうたは眠りにさそう。
雨の日は、眠い。人形たちもみんな眠そう。

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海南風なりふりかまわない嫉妬

危ぶまれていた「くねる」3号が動き出した。
まったく予告になかった、ミステリー「くねる殺人事件」がはじまるらしい。

カリスマ川柳作家が殺され、容疑者は4人。
作家の姉、街子。 前妻、桐子。 本妻、よしこ。 愛人、凛。
街子は、せめて妹に・・・と訴えたが、カリスマ川柳作家がトシいきすぎると却下された。
謎解き探偵は、リシュウ氏。(くねるへの多大なご協力に感謝しての特別出演・・・ご本人の承諾なし?)

前妻桐子を見てつぶやくリシュウ探偵・・・「見るからに薄幸そうな女だ」。 おいannoy 
・・・くねるの木村多恵と呼んでもらおう。 乞ご期待!(薄幸いや発行は秋です)

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思春期外来 瓶の梅ゆらり

梅酒の瓶を、毎日「おいしくなるんだよ~」と揺らす。青梅がゆら~んと揺れるのを見たとき、ふいにあの日を思い出した。
思春期相談・・・カウンセラーの方とまず娘だけが話すために、不安げな娘を残して部屋を出た。すりガラスの向こうに水が満ちて、青い実が溺れそうだった。

中高生の川柳ゼミのときに、何句か自句を紹介した。「木は立っています 一羽の鳥のため」という句とタイトル句を合わせて、「実は、私の娘は高校2年生のときに学校へ行けない時期がありました・・・。」と話はじめるや、一斉にガバッと顔が上がって注目した。
自分を詠むということを、説明するより伝わったかもしれない。

ほんとうに話したいことは、いちばん話したくないことの奥にある。話したくないことが蓋をして、話したいことがとり出せないのだ。その、誰にも話せない蓋を、川柳にして外してまうことも可能だと思う。
川柳ゼミを受けてくれた生徒のひとりが、来年も絶対川柳ゼミをとるから開いてほしい・・・と担当の先生に言いに来てくれたそうだ。普段ほとんど自分を出さない、とてもおとなしい女子だとか。話したいこと、話したくないことが、あるんだね・・・。

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呼びながら神戸は海へ傾いた

今日は、新子先生の教室でいっしょだった小田切南さんの句集出版記念句会だった。南さんらしい、超華やかで弾けるような句会だった。

題に「神戸」があった。神戸というと、どうしてもあの日・・・。
私の住む伊丹市も、烈しく揺れた。当時、11階建ての集合住宅の6階に住んでいたが、建物が持ち上げて落とされたようなあと、折れる!と思うほどの限界の横揺れだった。揺れが収まってすぐ、子どもたちの名を呼びながら子ども部屋をのぞいた。幸い二人は無事で、下の娘は180度、上下逆になって寝ていた。

タイトル句は、最初「啼きながら神戸は海へ傾いた」と詠んでいた。啼いたのは、その後で、傾くときはきっとみんな誰かを呼んだと思った。元句の方がよかったかな~?

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雨音が魚拓の鯛を潤ませる

おじいちゃんの趣味は釣。
居間には、大きな赤ちゃんくらいの鯛の魚拓が飾ってある。

どんな風に魚拓をとるのか見たことはないが、鱗や鰭やらがきれいに写し取られていて感心する。目の入れ方が上手だったからか、たましいも写し取ったかのようにいきいきして、たくましい尾びれで跳ねあがりそうな鯛だ。

鯛は窓の見える位置にいる。雨音を聞きながら、隣の屋根を伝う雨を眺めている。六月はさみしげな鯛である。

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逃げそうな雨コーヒーで引きとめる

コーヒーの匂いの雨は、いまごろどこの町にいるのでしょう?
誘惑に弱い雨なので、またビールでも飲んでるかもしれませんね。

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早朝の電話 睡蓮咲ききらぬ

何事か!と思えばそんなことか・・・。
勘弁してほしい。

不機嫌につき、近寄るとキケン!(子どもだ・・・)

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産みおとす声を漏らした冷蔵庫

つめたい闇を抱えつづける冷蔵庫。
やるせなさを結晶させては、闇にまぎれて産み落とす。
そのかすかな声を聞いてしまうときがある。

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透きとおる不埒な風にあいされて

かすかに雨の匂いを含んだ六月の夕暮れの青い風。
父のような、母のような、青年のような風。
夢から覚めるように風が去り、
みなしごのような私が残された。

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湊へのバス 震えるシフトレバー

中高生の川柳講座その2。
川柳を「詠む」ことに加えて、「読む」ことにチャレンジ。「雲」の題で合評をしてみると、みんなよく読める!驚きだった。

 「雲」高得点句

  あの雲の行方は誰にも分からない ちや
  日が沈み赤紫の反射鏡       めい
  青空のナミダを流す黒い雲     あや

今日で終了。いつかどこかで、川柳が役に立ってくれたらうれしい。

鞆の浦行きのバスは、なつかしいガタゴトバス。終点の二つ手前の停留所で、乗客は私ひとりになった。海沿いの道の居酒屋も、路地裏の居酒屋もほかにお客さんはなく、大将や女将さんに、魚の名前を聞きながらすこしお酒を飲んだ。小さな魚の名前は、もう忘れてしまった。 

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鳥かごの自由 大空の自由

狭苦しい自由は窮屈だけど、だだっ広い自由も案外不自由かもしれない。
よくみたら「自由」って、四角四面の堅苦しい字だ。

お隣の飼っているおかめインコの声が、ときどきヒステリック。
知っているのかな・・・空を?

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手裏剣のように胸から切る名刺

「一応名刺渡しておこう」
(いらんと思うけど・・・)
「こっちは趣味の方の」
(それもいらんけど・・・)
「プライベートも一応」
(まったくいらんから!)

あの人の武器なんだろうな、きっと。
シャッ、シャッ、シャッと自信ありげに投げてきたもんな。
頂戴した名刺を“撒きビシ”のようにカウンターに並べ、
忍法斜め走りで退散!(九の一気分!)

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雲形定規生きる方へと線を引く

「薄氷を踏む思いというのは、こういうことだと分かった・・・」
そこだけ外国のような、マリーナのデッキCafeでRちゃんは静かに言った。
もうすっかり回復したようにみえるが、またふいに眠れなくなり、物事の優先順位がつけられなくなるかもしれない・・・と、いつも不安でいっぱいなのだと。

病をかかえていても、彼女はいつも眩しい。
彼女の回復を願う人たちから届く、たくさんの手紙やメール、花、本・・・なかにはホテルの宿泊券やクルージングのお誘いも。そして、前例のない待遇で引き止める職場。どこまでもやさしい両親。
そんなことを、まったく嫌味なく語る。

彼女はいつも海を背に座る。
海は鉛を溶かしたように、キラキラキラキラと眩しい。
私は山を背に、どんなにあいされてもさみしい海を見ていた。

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天井に椅子を引く音 帰さねば

若い男性と話す。
「お名前は?」
「ジンです。スラムダンクのジンと同じで・・・」
「神様のカミのジンさんですね」
「スラムダンク知ってるんすか?」
「大好きです。8巻の不良上がりの三井が泣くところがいちばん好きです」
「え~っ!びっくりですわ。僕の青春っすわ」

これだけのことです。
いちばん苦手な年代の異性とコミュニケーションがとれました。
びっくりっすわ。

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あなたは海をわたしは山を背にいつも

一年半ぶりに、福山の中高生に川柳を伝えに行ってきた。
前回は13名だった受講生が、今年は32名に!32名中、たった3名の男子は、中1、中3、高2。単独申し込み?・・・第一志望のゼミの抽選にはずれ、川柳にまわされたのだろうか?

アイスブレイクで、自己紹介を兼ねて福山自慢をしてもらった。福山一押しの1位は、薔薇公園、薔薇まつり。2位は、鞆の浦、鞆の浦の花火大会。他にもまだまだ・・・芦田川、祇園まつり、美術館、福山城、琴、オニバス、駅前交番横の白いたい焼き、本店ラーメンなど見どころ、味どころ満載。

さて、川柳。たのしそうな女子とは対照的に、男子が終始うつむき加減で、つまらなそう。作句に入っても、なかなかできない。話し言葉で、思ったことを書いたらいいよと声をかけてもできない。時間内にできなかったらどうしよう・・・とこちらが焦ってしまう。と、ぎりぎりに出た!!

  席題「風」
   風の音 ゴォーゴォーという神の声  らいと(中1)

やるじゃないの!もう感激!

  席題「開く」
   夕食に一品足りずアジひらく  よしたか(中3)

「開く」の題は、ドアや窓や心を開くがほとんど。アジを開くとは!すばらしい!

そして、きっと次回はきっと来ないだろうと思った高3のタカヒロ君が、帰り際に句箋をくれた。『福山城 水野勝成りっぱだな』と書かれていた。君も立派だよ。

俳句や短歌には若い男性がいるのに、川柳にはいない。・・・川柳界の穂村弘が生まれるかもしれない。

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鰓呼吸のころから膝を抱いていた

「羊水の湯」というのに、浸かったことがある。
数年前の冬のこと、ひとりで島の温泉へ旅に出た。
屋外の羊水風呂は体温程度のぬるさで、首に浮き輪をはめてぷかりと羊水に浮くように浸かってくださいと説明が書いてあった。
暖冬だったのに、その日は大荒れの吹雪。顔面に打つような雪を受けながら、あぁ・・・いのちの生まれた瞬間から試練は始まっていたのか・・・と、悟りのひらけそうな境地を味わった。
すぐそこは海。波が、ぶつかっては砕け、ぶつかっては砕け、あたらしい波が生まれた。あまりに哀しいその声が、なつかしいような心地よさだった。
  かなしい声あげて生まれる波もまた  桐子

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父滲む三方金の皮手帳

父は職人で、普段は手帳など使わない人だった。どこかへ出かけるときだけ手帳を持ち、おそらく行き先の住所やらをメモしていたのだと思う。
黒皮の手帳は、用紙の縁の金色が黒に映えて美しかった。父の太い親指の幅で、金色の真ん中あたりだけ、色が薄くなっていたのにも憧れた。

一度だけ手帳をのぞきみたことがある。父のぐねぐねの悪筆が滲んで、泣いているような「大阪市阿倍野区文の里・・・」があった。
その後なぜか「阿倍野」は私の鬼門になり、あの父の字のように物悲しくなる地名としてある。

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適当に嫌い合ってる葱と味噌

読みはじめたばかりだけど、おもしろい!

本書で私がつかんだこと、それは「嫌い」という感情は自然なものであること。そしておそろしく理不尽なものであること、しかもこの理不尽さこそが人生であり、それをごまかしてはならないこと、このことです。 『ひとを<嫌う>ということ』(中島義道 角川文庫)

家庭内で妻と子に嫌われたことから、「嫌い」が人生最大のテーマになったのだとか・・・。
嫌われることをこわがらなくてもいいんだ。
人はゆえなく人を好きになり、ゆえなく嫌いにもなる。そうだ、そうだ。

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引き摺った影の頭がすり切れる

ちょこっと忙しい。頭も使う。・・・他のことがしたくなる。
梅酒と梅ジュースを作ることにした。
ガラス瓶、お酒、氷砂糖、蜂蜜を買いに走り、梅を水につけたり、芯をとったり・・・梅仕事に精を出す。

疲れた頭はどこかに落としてきたみたい。あたらしい頭をもらったアンパンマンのように、さ、もう少しガンバロー。

秋にはおいしい梅酒飲もうね~、みんな~!(ランナーズハイ状態)

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くちづける鎖の匂いする首に

さっきからブランコの音。
ときどき大きくこいで、だんだんちいさく揺れる。
こんな深夜に・・・いったいだれ?

そういえば、鎖の匂いのする白い花が咲いていたっけ。

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ゆるやかな死のあふれいる花市場

「時実新子の川柳大学」がなくなってから、会員だった方々が結社やグループを立ち上げるなど、多彩に活動されています。
そんななかで、ネット上で誰でも参加できる新しい川柳の場を開かれたのが「ゆうゆう夢工房」。WEB句会あり、川柳エッセイあり・・・と、とても充実しています。
その中の、日替わり川柳のコーナーにお招きいただき、6月の日曜日を担当させていただくことになりました。そう、今日からです!
今月の日曜日は、夢工房とくらげの同時アップをおたのしみください
句にコメントがついていますので、あちらも見てくださいね。

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おいしいねさみしいね粉末緑茶

抹茶入りでまみどり色も美しくて、カテキンもたっぷりなんだとか・・・。
でも・・・なんか違う・・・違うよ・・・。
お茶っ葉を入れて、お湯を注いで、待つ時間・・・
あの時間が大事な気がする。
待つ時間も淹れたお茶を飲むから、ほ~っとできる。

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もうひとり柱の陰にいる暗さ

小学校一年生のさんすうの最初に、「帽子をかぶっている子は前から何番目でしょう」と、数を数える練習がある。
絵を見つめたままなかなか答えの出ない娘に、「前から一人ずつ数えてごらん」と声をかけた。
「うん・・・この木の後ろにもう一人いるような気がするねん・・・」
私には、気配が感じられなかった。あの絵をもう一度見てみたい気がする。

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金色(こんじき)を脱いでも会ってくれますか

京都西本願寺での吟行に参加。
私はいつの時点で間違ったのか、金閣寺だと思い込んでいた。
スロースターターで、たいてい出遅れるので、夕べ金閣寺のHPで予習をし、行きの電車も金閣寺を思い浮かべてイメージトレーニングをしながら行った。
集合場所のJR京都駅から歩き始める。金閣寺ってそんなに近かったかしら?とどこまでもボケていたため、西本願寺に着いて、立ち直るのに時間を要してしまった。
イメトレで作った句は、いつか金閣寺のために置いておこう。

作句の途中で、おじさんから「なんか紙に書いてる人がようけいるけど、何してはんの?」と聞かれる。「川柳です」「へえ~、こんなとこで?ええのできたか?」「いいえ、ダメです」「あんた若いから新人やろ。しゃあない、しゃあない。それなりでええねん。・・・まぁ、がんばりや」と、励まされた。
外国人の観光客の人から、次々シャッターを押してほしいと頼まれる。トイレはどこですか?と尋ねられる。作句をしているというのに、・・・どれだけ話しかけやすいのだ、私。
政二さんのように、1メートル以内に近づいたら跳ね飛ばすようなバリアを張らねばと思う。

極楽というところは、なかなか絢爛豪華なところらしい・・・。
 金粉にまみれミナミか極楽か

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水無月のさらしくじらの白の果て

川柳の題材というわけではなく、ひとつの“もの”にとらわれやすい。
その時期は、それを詠んだ句が多くなることに、いまごろ気づいた。
3年ほど前は、月だった。そのあと、水。近ごろ、白。
なにか深層に、求めるものがあるのだろうな・・・。
そりゃまあ、美白も気になるお年頃だけど・・・。

今日、見つけた白。
すずらんの白・・・こりゃまだ子どもの白だね。
生クリームの白・・・あれくらい泡立ったらおもしろいね、人も。輪郭自在。

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のうぜんかずら味方にしたらこわい人

六月になりました。今月もよろしくおねがいします。

六月となんの関係もない話題だが、私は犬好きのする顔らしい。たいていの犬が、好意を示してくれる。
今朝もウォーキング途中、半開きになった門扉から飛び出してきた犬と目が合い、すれ違って3メートルほどのところで振り返ったら、犬も振り返っていた。人間同士なら恋に落ちているところだ。

飼い犬と飼い主の顔は似ているという調査結果が出ていた。自分によく似た目鼻立ちに親近感を持って、犬を選ぶからだそうだ。
うちの犬は、信じられないくらい鼻が低い。散歩の途中で、「まぁ~、鼻の低いダックス!」と言われたほどだ。選んだのは娘だ。調査結果は正しい・・・。

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