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2009年7月

炎昼の祭りこの世という広場

川柳、俳句の句集で前から不思議に思っていたこと。
俳句集は、一句を一定の長さの一行に、文字を均等割り付けしてあるものが多い。つまり字と字の間隔が、一句の文字数によって変わる。
川柳句集は、文字間隔は一定で行の長さがまちまち。たいていは、行頭を揃えてあるので行の終わりがでこぼこする。さらに、文字と余白のデザインも多様だ。

こんなところにも、川柳と俳句の個性があらわれていておもしろい。私は、文字間隔が均一な方が好きなので、やっぱり川柳が合っていたのだろう。

盆踊りの踊りの輪のほどけた先に、先の世がありそう・・・。ひらひらした白い手が闇に消えるよ。

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おばさんの声が大きい弱冷車

おばさんは雨にも負けず、もちろん暑さにも負けない。

今朝、電車に乗り合わせたおばさまご一行様は、なにかのサークルのお仲間らしい。サークルメンバーのM氏の話題でもちきりだった。
どうやらM氏は、好感のもてるプレイボーイらしい。ところが、そのM氏に食事に誘われたKさんが、M氏が自分に好意を抱いているような発言をしていた情報から、女の川は水かさを増す。
食事した程度で、アホな勘違い女・・・だいたいKさんはサークルの準備やかたづけもちゃんとしない・・・服装のセンスも悪い・・・と濁流がごおごお流れる。
そのうち一人の荷物から、ほんとうに水が漏れてきた。誰も気づかないので「あの・・・水が零れてますけど・・・」とそっと伝えた。水筒がきちんとしまっていなかったらしい。カバンから全部引っ張り出して拭いたり、出てきた飴を配ったりでひと騒動だった。

そんな車内で川柳など詠めるはずがない。写生句になってもしょうがないのだ・・・。

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それまでとそれからのある坂の街

神戸の人と話すと「震災までは・・・」「震災から・・・」という言葉がよく出る。
あの日あのとき、誰もがなにかを失い、なにかを背負い、なにかをつかみ、なにかを見つけた・・・。

神戸の坂は、決してやさしくはない急坂だ。それでも山からの緑の風と、海からの青い風を感じながら上り下りするこの街を、みんな愛してやまない。

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貸した耳すこし汚して返される

にわかに忙しい日が続いている。
ここ数日の、印象に残ったことば。

「いい男かどうかはね、私の場合、さしでお酒を飲みたいと思うかどうかよ」・・・川柳姉。なるほど、言い得てるなぁ。

「感動とかじゃなくて・・・でもなんかウルッときてしまって・・・目にくる話ってはじめて・・・」「人生をたのしんでる人には、ちゃんと理由があるんやね」・・・娘。“人生の先輩による進路相談”は、まさに目から鱗の連続で、ボディブローのように効いているらしい。

耳は、耳でよかった~と、言っている。

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背中合わせに咲く ひまわりの姉妹

姉があまりに陽気でおしゃべりで、私はいつも話すタイミングを逃して・・・、高校生の頃は姉と口をきかない時期もあったの・・・、。とは、友人の話。
うちは妹がひまわりだった。7月生まれで、おちゃめで甘えん坊で、のびのび明るく。いるだけで、場を照らすような存在。まぶしすぎて、日食グラスの眼で見るようになった。

男同士の場合も、どちらかが明るすぎたり、強すぎたりすると他方は影響を受けるのだろうか・・・。男と女の場合はどうなんだろう??

むかし「人生ゲーム」で、女の子が生まれました、女の子が生まれましたと、ピンクの人型が揃うと、がっかりした気持ちになった。ひとりっ子と、兄、妹の組み合わせについ憧れた。

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娘の泉 足がつかなくなっている

いつのまにか深くなっていた。
澄んでいるけれど、もう底は見えない。
知らない生き物もたくさん棲んでいるようだ。

引き換えこちらは、どんどん浅くなってくる。
浅いけれど、いろいろ沈殿していてやはり底が見えない。
ややこしいものも棲んでいる。

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流される女の川という油断

いきなり豹変するのは、女の川だ。一気に増水、決壊し、根こそぎ押し流す。
二日もすれば、何ごともなかったかのように、いつものおだやかな流れに戻る。
さらさらとよく笑う川の女には、とにかく近寄らないに限る。

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皆既日食 桃が毛深くなっている

本日、海月句会に出した句。
今日でないと、おもしろくない句だと座の意見が一致。
生菓子のような一句。

要冷蔵。本日中にお召し上がりください。

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招かれる歯のない口のくらがりに

老女が口を開く。
上下とも入れ歯を外した口から、湿った糸のようなことばが流れでる。
濡れた糸にぐいぐい巻きとられ、歯茎の隙間からのぞく暗がりに引きずりこまれそうになる。
時おり、無意識か上着をたくしあげ、白く枯れた肉用植物のような乳房をあらわにする。
かなしみともつかない、諦念のような冷え冷えとしたものが身体じゅうにいきわたり、逃げ出そうにも身動きがとれなくなってしまった。

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これかしらいつもわたしと呼ぶ貌は

「考えさせてください」と答える。
一生懸命考える・・・どれもがほんとうの私で、どれも違う気もしてくる。

それから、零コンマ1の大きさを考えた日。
オリンピックの100メートル走しかり、零コンマ1が運命を大きく変える時もある。

夜になって、受信トレイには天使が舞い降りてきてくれた。
嵐のあとのような静かな澄んだ夜だ。さあ眠ろう。

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口中に降りだしそうな空のあり

黒雲がいっぱいだよ。口を開いたら、ほら涙声じゃない・・・。
河原に行って雲を吐き出そうか?
いいよ、いいよ、ここで吐き出しても・・・豪雨だね。

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待つ人のあって玄関冷えている

田辺聖子さんの短編「当世てっちり事情」に新子先生の句が出てきた。あ、それで、主人公の女性は、「しん子」さんなのかも。
しん子は、3年前に別れた元夫と道頓堀でばったり出会い、てっちりを食べに行く。てっさ、ひれ酒、てっちりに舌鼓を打つうちに、昔のふたりへ戻ってゆく。ところがてっちりの終盤で、別れた原因の元夫の間違いの話になり、「帰るわ、アタシ」と席を立ちかける。「帰る?いちばん旨い最後の雑炊食うていかへんのか」と言われ、「うーむ。雑炊に釣られたか」と考え直す。元夫はどこかで見た川柳を思い出す。
  神妙にお縄を受けて共暮らし 新子  (「春情蛸の足」講談社文庫)

なんか分かるなぁ・・・こういうの・・・。おいしいお酒、おいしい肴でお腹がふくれると、ついしゃあないなぁとなってしまうもの。

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疑うはつめたきことよレントゲン

健康診断に行く。高齢の患者さんの多い、総合病院だった。
おじいさんは、いつからあんなにフレンドリーになったのだ?おじいさんから、いっぱい話しかけられる。
パチンコやさんの釘師をしていたというおじいさんは、あまりにも稼ぐお客さんは、店の仕込んだお客さんが喧嘩をふっかけて出入り禁止にするのだとか、業界裏話をいっぱい教えてくれた。最後にパチンコなんかにはまったらあかんで、と釘を刺された。(さすが釘師!)
鞄の中身を一つひとつ紹介してくれたおじいさんもいた。溶けかかった梅エキス飴をひとついただいた。

問診で「急激に体重が増えたとかはないですか?」と聞かれたので、「はい、じわじわ増えていますが・・・」と答えると、「あ~、じわじわね」で終わった。じわじわはいいのか?
視力が眼鏡をかけても0.4だということも分かった。やっぱり検診は大切だ。

こんなにも日照りなのに、日傘を忘れてきた。

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隙間より大きくなった山椒魚

インドネシアの若い女性の話を聞いた。
高校生の頃から、ストリートチルドレンの問題を考え始め、教育の大切さに気づき、教育制度を学ぶために日本の大学で勉強し、今は教育関係の企業で仕事をしているそうだ。
いずれは母国に帰って、子どもたちの教育に携わるのだと、澄んだ眼で語った。
「目標を持って、ひたすら生きる」・・・最後にそう言った。
ひたすら・生きる・・・その言葉に全身がきゅっと引き締まった。

タイトル句は、先日の句会の兼題「サイズ」に出したもの。
3句出しだったので、1句はちょっとあそんでみたら、そっちを抜いていただいた。
 眠るとき鋳型にはめる由美かおる 桐子
サイズというと、この人しか思い浮かばなかった。(ふっる~!)

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あたらしい風を汚している両手

美容院で、隣の若い女性のオーダー。
「あつくるしい感じで、このへん(頭頂部)、ドワァ~っとボワァ~っと。とにかくあつくるしく・・・」
仕上がりを見てみたかった。

手、耳、躰、手・・・からだとからだのパーツの句がつづく。
昨日は、蕎麦うち職人さんの手に見とれた。しなやかで力強い美しい動きだった。
これまでで、いちばん美しかったのは、フランス人ヴァイオリニストの手。
 
 手が好きでやがてすべてが好きになる  新子

手は、その人とその人の人生をしずかに語る。そういうこともあるかもしれないと思う。

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揺すったらさみしい音のする躰

「このままでいいの?」「どうしたいの?」

・・・ひび割れた風鈴のような音を聴いていた。
割ったのは、わたしかもしれない。

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火のついた耳上向きにして眠る

ネットで会員登録しているところから、お知らせが届く。
確認のためにログインしようとすると、IDとパスワードが違うという。
ん?こっちか?とやり直すと、それも違う、5回間違えると無効にするという。
いろいろ使うとややこしいので、近ごろはどこも同じパスワードにしているはずなのだが・・・。
面倒だから登録を解除したいと思っても、パスワードがいる・・・はぁ・・・。

娘は、パスワードを設定の最中。生年月日や電話番号はダメだから、数字を語呂あわせで覚えたいけど、なにがいいかと聞く。
「2・3・1・9」「・・・ぶさいくかい!」・・・忘れへんやん。

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尊厳死しずかに皿を拭く河童

今日の句会の兼題は、はじめての題ばかりだった。「河童」「サイズ」「揺する」。
中でも、河童・・・イメージを広げようと思って、ブログデザインも河童に変えてみた。河童といえば、私はアランジ・アロンゾの河童だったが、句会は年代的に黄桜の河童らしい・・・。あのお母さん河童はなかなか妖艶だったなぁ~。
句会は、チャーミングな河童が多くてたのしかった。

この前、句で「・・・・みたく(みたいに)」と詠んだら、そんな日本語はないと言われた。私も会話では使ったことはないが、中7にしたくて使ったのだ。
確か漫画「ちびまるこちゃん」のまるこちゃんが使っていたと思う。東海地方の方言なのだろうか?

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梅雨どきの饐えた臭いのする眼

朝起きると眼に違和感がある。あ~、またアレルギー性結膜炎だ・・・。眼薬でだましてはコンタクトレンズをはめるので、一向良くならない。
鏡をみると、鮮度の落ちた魚のようで気が滅入る。

川柳も、焦点のぼやけたような句ばかり・・・。気が抜けるというのは、こういう状態かな。そろそろ煮るか焼くかしないとね。

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月満ちるいとしきものを眠らせて

就寝は11時ってルールやってんけど、ずっと寝つきが悪くて2時、3時まで寝られへんかってん。ベットに入ってからの時間が毎晩苦痛やってんなぁ・・・。帰ってからは、普通に眠たいのに・・・。

起きているときとは別人のような、あどけない寝顔が寝息を立てている。しあわせって、寝息みたいに静かで気づきにくいものなんだ・・・。

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泣いた日をそっととり出す水まんじゅう

離ればなれで泣いていた日のことを話す。お皿に水まんじゅうがふたつ寄り添っている。

YouTubeでマイケル・ジャクソンの「billy jean」を観る。やっぱりダンスが超人的!
自然な呼吸のようにリズムを刻み、氷を滑るように動く。一連の動作のどこを切り取っても絵になる。永遠に美しく新しい。

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おかえりと白いご飯が炊けている

昨日、11か月ぶりに娘が帰ってきた。
こんなに離れたことはなかったし、顔を見たら泣くのかな?ハグなんかするのかな?・・・と予測不能だった。

犬が吠えたてている。娘だ!玄関に出迎える・・・シャイな母娘の再会は、ちょっと長い旅から帰った程度のあっさりしたものだった。
「ただいま~。つかれたよ」「おかえり、ご飯できてるよ」「食べるわ」「髪、伸びたね・・・」「うん、美容院行きたい」・・・。「よくがんばんったね」のひと言も、言いそびれたまま。

空港に出迎えてくれたのは、娘の友だち。娘の親友は、帰ってくるのがうれしくて、夕べ1時間しか眠れなかったと電話をくれた。
もう私は帰る場所として、ご飯を炊いて待つだけだ。これからも・・・。

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地下に出る笑うところを間違えて

駅ビルのトイレの個室から出て手を洗っていると、なんと男性が堂々と入ってきた!
きっ!と睨みつけると、むこうも睨んでくる。警備員に知らせなきゃと、急いで出る。目の前に赤い人のマーク・・・おや?と振り返ると黒い人のマーク。・・・私が男子トイレに入っていた!

この前は、待ち合わせの店が分からずさまよった挙句、ドアを開くとうどん屋の厨房だった。かなりびっくりされた。
耳鼻科では「椅子にかけてお待ちください」と言われて、先生の椅子に座っていて看護師さんに爆笑された。
・・・笑いごとでいいのだろうか?

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